ALIVE意見
(7)飼養施設の適正化
- 「動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目」などを遵守しておらず近隣住民から悪臭や騒音などの苦情が寄せられる動物取扱業者が数多く存在する。行政が具体的に改善指導できるよう、また、近隣住民に説明がしやすいよう客観的な数値基準をつくるべきである。とくにアンモニア濃度、騒音、温度、湿度など、器具を使って計ることができるものについて、多角的に数値基準をつくるべきである。
- ケージは、正常行動を可能とする大きさを原則とし、体長、体高、成長速度、習性等に応じた大きさ、高さとする。犬については少なくとも体長の3倍以上の幅であること。また、ケージ飼いの場合は、必ず1日1回以上は適度な運動をさせるべきである。
- ケージの段重ねは、上段の糞尿の飛沫等が下に落ち、衛生上の問題がある。清掃等においても十分に行きとどかない可能性があるので、原則として制限するべきである。
- それぞれの種にかなう適正湿度、温度、照度等をガイドラインで定める。
- 動物の飼育施設ではそれぞれの種の習性、生態に適う環境エンリッチメントを行うこと。(例:ガム、止まり木、おもちゃ、ハムスターの回転車など)
- 適正規模で営業することは動物福祉につながり、また多頭飼育の崩壊を防ぐことにつながる。飼育者1人当たりの飼育頭数上限や、面積当たりの飼育可能頭数などの数値基準をつくるべきである。犬であれば成犬10頭に対し最低1名の飼育員を置くこととするべきである。
- 動物取扱業の施設の運営事項に、災害発生時の動物救護対策(飼育動物の避難や逸走防止等)と感染症予防対策を書き込む必要がある。2006年に大阪で人畜共通感染症が集団発生した際には、感染症発生時の緊急隔離施設や管理治療マニュアルがないため、大変な混乱と被害の拡大を招いた。人の感染症および動物由来の感染症、家畜伝染病については法律があるが、ペット間の感染症の防止のための法律はない。パルボ、ジステンパ ー、猫エイズといった、劣悪な多頭飼育施設で発生する可能性が高い感染症についての対策を施設運営事項に盛り込むべきである。また、感染症の発生時に、安易なペットの遺棄や処分が行われないようにすることも必要である。
- 動物取扱業者の施設が劣悪であるとパルボなどの感染症が発生することがある。業者はそのような場合、感染した犬を行政に持ち込んだり、遺棄したりする。行政の施設に犬が収容されるとパルボにかかるというのは、業者持ち込みに由来しており、一般譲渡は困難になることが多い。行政の引取りを、悪質業者の「不良在庫処分」とさせてはならない。業者から引き取る場合は、一般飼い主からの場合より引き取り手数料を高く設定するなどの措置が必要である。
- 「動物愛護及び管理に関する法律施行規則」の第3条第2項の8に、「構造及び規模が取り扱う動物の種類及び数にかんがみ著しく不適切なものでないこと。」とあるが、これではよほど不適切でない限りはよいという誤解を招くおそれがある。「著しく」という文言を削除するべきである。
環境省案
※文末【参考資料】は、環境省HP「議事次第資料・議事録一覧」から参照できます。