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動物愛護管理のあり方について(案)
(「動物取扱業の適正化」を除く) パブリックコメント意見案
2011年11月10日
NPO法人地球生物会議
1.虐待の防止
(1) 行政による保護等
- 動物虐待が発生した場合、どこに相談してよいかわからないことが多い。児童虐待は年間数万件が発生しており、動物虐待も相当数発生しているとみられるため、動物虐待110番のような相談窓口が必要である。その内容に応じて、窓口から、動物行政、警察、市区町村の担当部署、動物愛護推進員などとの相互連絡体制が設けられるべきである。
- また、日常的に、あるいはいちじるしい虐待を受けている動物を発見した場合は、その動物の緊急避難(飼い主からの一時的引き離し)を可能とする措置を設けるべきである。
- 動物愛護センター等の行政の収容施設を、虐待を受けた動物の一時保護シェルターとして機能させるべきである。また、保護動物の世話等においては、動物愛護団体等の協力体制を設けることも有効である。
- 警察が、「たかが動物」と無視、放置することのないように、生活安全部局等において動物愛護管理法の周知徹底をはかるべきである。
- 動物行政と警察間の連携強化等を進めるため、警察と動物愛護管理担当部局との合同研修や合同立入調査・指導を行うべきである。
(2) 取締りの強化及び罰則規定の見直し
- 動物虐待の定義があいまいであるために、警察や動物行政が対処しないことが多い。虐待の定義を、より具体的にするべきである。
- 現行法では、(1)みだりな殺傷と、(2)みだりに給餌給水を怠り衰弱させる等飼育怠慢の虐待を区別している。
(1)においては、意図的な殴打等の暴力、毒物の投与等を含むことを明示する。
(2)においては、病気・怪我等の放置、汚物を放置するなど不衛生な環境での飼育等を含むことを明示する。
(3)として、新たに以下を虐待として明示する。
- 恐怖や苦悶を与えること
- 曲芸、演芸、調教、使役等において酷使すること
- 動物本来の行動を発現できない密閉された狭小な小屋等での長時間飼育や、雨風や強い日差し等をさけることができない場所での係留等
- 虐待の取り締まりを強化する方法として、動物愛護管理担当部局の職員に司法警察権を付与するべきである。日本には、動物虐待に対して、アメリカのようなアニマルポリス、イギリスのようなインスペクター制度が存在しないことから、動物行政の中に専門家を置き法律的な理解を得て動くことが必要である。
- 警察のみならず、検察においても、動物愛護管理法についての認識を高めるべきである。ちなみに、馬を竹製のむちで殴るなどしていた「上げ馬神事」について、動物愛護管理法違反の疑いで、警察が書類送検したにもかかわらず、検察庁は「社会通念に照らし合わせると、虐待と認定するには疑問がある」として不起訴にした。社会通念というあいまいなものではなく、動物が受けた苦痛や苦悶、障害、死亡等の事実に基づいて判定するべきである。
- 罰則を大幅に引き上げるべきである。 2004年に制定された特定外来生物法では、 罰則は個人に対しては懲役3年、罰金300万円、法人に対しては罰金1億円とされている。動物愛護法においても同様に罰則を引上げるとともに、とりわけ無登録営業や虚偽登録等を行う動物取扱業者及び法人に対する罰金を大幅に強化するべきである。
- 動物取扱業の違法行為に対する罰則は、以下のように引き上げるべきである。
第46条(無登録営業、不正登録、業務停止命令違反、勧告命令違反)
個人は罰金300万円、法人は1億円(現行は罰金30万円、法人規定なし)
第47条(変更の無届、虚偽の変更届出、無報告又は虚偽の報告、立入検査の拒否又は妨害・忌避)
個人は罰金100万円、法人は1000万円(現行は罰金20万円、法人規定なし)
第49条(廃業の無届、虚偽の届出)
個人は罰金50万円、法人は500万円(現行は罰金20万円、法人規定なし)
第50条(標識の掲示義務違反)
個人は罰金30万円、法人は100万円(現行は過料10万円、法人規定なし)
(3) 闘犬等
- 動物闘争には、いろいろな形態があり、「闘犬など動物同士を闘わせる行為」としてひとくくりにするべきではない。
- 闘犬の中には、死に至るまで闘わせるようなやり方も存在する。また、闇の中で行われている部分もあり、闘犬という野蛮な風習を根絶させるため、禁止とするべきである。
- 闘牛については、一部地域では牛の角突きのような行事もあるが、角で突かれるなどして負傷するまで闘わせる行事もある。
- 死傷にいたるような動物闘争は、原則として禁止し、動物の苦痛をともなわない一部の伝統的行事についてのみ認めるべきである。
- 行事開催者を動物取扱業(展示業)として登録を義務付けるべきである。また闘犬等のイベント会場で実施する場合、行事が一定の時間(24時間)を越えない場合であっても、登録要件から除外することのないようにするべきである。
- 動物取扱業の基準の中に、事前事後の獣医師によるケア、動物への負担を可能な限り軽減させることを盛り込むべきである。
- 一般に公開されない闘犬、闘鶏等については、賭博等の違法行為をともなっている場合があり、警察による捜査が必要である。
2.多頭飼育の適正化
- 多頭飼育に起因する、著しい飼育怠慢や周辺環境の悪化は、日本全国で発生しているが、現状では行政はこれを未然に防止したり、改善させることができないことが多いので、多頭飼育の規制が必要である。
- 動物愛護法第25条で多頭飼育の規制を定めているが、鳴き声、汚物の放置、臭気等、人の生活環境への悪影響のみで判断し、動物の個体の疾病や衰弱といった動物虐待の観点が含まれていない。第25条に、「多数の動物の飼養又は保管に起因して、<動物の福祉が損なわれ>、周辺の環境が損なわれている事態」と、<>内の言葉を加えるべきである。ちなみに動物の福祉とは、いわゆる「5つの自由」を言う。
- 劣悪な多頭飼育によって実際に動物に感染症がまんえんし、衰弱したり死亡しているのを発見した場合、行政は速やかに飼い主を告発するべきである。
- 行政が劣悪な多頭飼育の改善指導をする場合、改善指導回数が3回を超えてもなお改善されない場合は、故意の飼育怠慢(虐待)とみなして、措置命令を出すべきである。
- 行政の勧告や措置命令に従わない多頭飼育者に対しては、飼育管理能力がないとみなされることから、動物の一時保護を行える措置を導入するべきである。
- 多頭飼育による飼育崩壊を未然に防止するためには、飼育者が世話できる限度を超える飼育頭数にならないように、一定数以上の飼養は届出制とするべきである。
- 届出のある多頭飼育施設は、行政及び地域の動物愛護推進員等が定期的に施設を訪れる等して、適正飼養の助言を行えるようにするべきである。
3.自治体等の収容施設
- 自治体の動物収容施設が劣悪なため、迷子の犬猫が収容されるとパルボなどの感染症にかかってしまい、飼い主に戻された後で発症するケースもある。犬猫の収容施設は原則として個室とし、衛生管理を徹底するべきである。
- 行政の一時保管施設に収容された犬や猫が、冬は凍死したり夏は脱水死したりすることがある。寒暖対策の設備を義務付けるべきである。
- 動物愛護センター、保健所、市町村の一時保管場所等の収容施設・設備についての全国統一の運営基準を設け、地域格差を解消するべきである。
- 収容施設における犬猫の保管や譲渡等の活動に関しては、地域の住民や動物愛護関係者等がかかわる仕組み作りが必要である。
- 収容施設内での殺処分設備は、殺処分を依頼する飼い主に対しては積極的に公開するべきである。
- 施設内で実施される殺処分の方法については、麻酔薬を使用し、可能な限り苦痛を伴わない方法をとるべきである。
- 殺処分を実施する職員の精神的負担や安全確保の観点からも、苦痛のない人道的な手法で行うべきである。
- 犬猫の引取りについては、安易な引取りを防止するために、飼い主または持ち込む者に対する引取り理由の聴取を行うべきである。
- 引取りを求められても、終生飼養が可能であるとみなされたり、新たな飼い主を見つける努力をしていない場合には、引き取りを拒否することができるようにするべきである。その場合、動物が遺棄されることのないよう、遺棄は犯罪であり処罰されることを周知徹底させるべきである。
- 殺処分数を減少させるためには、自治体は積極的に返還や譲渡等を進めるべきである。
- 所有者不明の犬猫の引き取りに関しては、(遺失物法との適合をはかり、)ホームページなどで広く所有者確認のための公示を行うこと等により返還率を高めるようにするべきである。
- 犬の捕獲、犬猫の収容保管、殺処分に関わる現場職員に対し、動物の適正な取扱いについての研修制度を設けるべきである。
4.特定動物
- 特定動物は、現在、人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがある動物と定義されているが、逸走した場合には野生動物や生態系にも悪影響を及ぼす種もあることから、定義の幅を広げるべきである。
- 特定動物のほとんどは、外来の野生動物であること、災害時には、特定動物を同伴して避難する等は困難であること等から、みだりに飼養しないように啓発普及を進めるべきである。
- 現行の特定動物の飼養保管基準は、動物の逸走防止の観点しかなく、野生動物を狭い檻の中に一生閉じ込めておくことから生じうる苦痛等のストレスに対する配慮が何もない。特定動物であっても動物福祉の原則に基づき、その生理、習性、生態に適した飼養施設としなければならないこと明記するべきである。
- 特定動物の危険性の判断は、毒性や殺傷力等に限らず、飼育管理の困難性、飼育自体が虐待となる可能性等の観点も考慮するべきである。
- 闘犬等、攻撃性を高めることを目的として飼養している犬については、人の死傷につながる咬傷事故が発生していることに基づき、特定犬として飼育を許可制とすべきである。
- 特定動物には、マイクロチップの装着等の個体識別措置が義務付けられている。個体識別措置がなされていない特定動物は移送・運搬を禁止するべきである。
- 特定外来生物法に基づく特定外来生物のうち霊長類(ニホンザルを除くマカク属)については、 動物愛護管理法の特定動物に戻して、自治体の担当職員が立入り調査できるようにするべきである。特定外来生物は環境省の飼育許可制となっているが、環境省では書類審査のみで飼養保管施設の現地確認等ができずおらず不適正使用を発見したり改善指導ができない。自治体の場合は、動物愛護管理法にも基づいた飼養保管について、獣医師等専門職が現地確認や改善指導を行うことができる。
5.実験動物の取扱い
- 実験動物の飼養者等は、「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準(平成18年4月28日環境省告示第88号)」に基づき、自主管理を基本としてその適正化を図っているとしても、自主管理体制にすぎないので、関係者が言うように、本当に不適切な事例や問題点がほとんど見られないかどうかは判断できない。
- また、自主管理による第三者評価制度というのは、実験関係の専門家による評価であって、本当の意味での第三者評価とは言えないものであるので、一般市民や有識者を含めた真の意味での第三者評価とするべきである。
- 自主管理をする以上は、実験施設や実験動物福祉、3Rの実施状況に関する情報をできる限り公開し、一般国民の批判を受けるべきである。
- 実験動物施設については、どこに施設があり、どのような動物がどのくらい飼養されているか不明である。実験動物の取扱いに係る問題が存在しても表面に出てきていないだけとも言える。少なくとも、実験動物施設は登録制ないし届出制として、行政がその存在を把握するべきである。
- 動物愛護管理基本指針に基づいて、国は、実験動物の飼養保管等基準の遵守状況について定期的な実態把握を行うこととされているが、企業、団体等についてはまったく把握できないことから、登録制ないし届出制が必要である。
- 文部科学省、厚生労働省及び農林水産省の所轄の施設には同省が策定したガイドラインが適用されているが、経産省、環境省、防衛省等の他の省庁ではガイドラインさえ策定しておらず、実験施設の実態さえ不明である。
- まずは、実験施設を登録制としてその実態を把握し、3Rの原則ならびに基準の周知徹底を行うべきである。
- 大きな事故や災害時には、停電・断水等によりたちまちおびただしい数の実験動物が死にさらされる。また施設の倒壊等により逸走や、病原菌が拡散する等の危険性もある。災害時の対策のためにまずは、施設を登録制ないしは届出制とする必要がある。
- 先進諸国では、実験施設は認可もしくは登録制で、国等の行政機関が施設に対する監督を行なうことが一般的である。日本もこれにならうべきである。
- すでに条例等で実験施設を届出制としたり立ち入りを行っている自治体もあり、それによって何の問題も生じていないので、法律で届出制としても動物実験を阻害することにはならない。
- 「3Rの原則」のうち、法律41条1項の代替法の促進と使用数の削減については、配慮ではなく、苦痛の軽減と同様に義務とすべきである。
- 3Rの実効性を高めるためには、その前提として最低でも、実験施設の所在確認と主な実験内容、使用する実験動物種と数が確認されていなければならない。
- 実験動物繁殖販売業者が、動物取扱業から除外されていること自体が非合理的である。繁殖販売業者は、自ら実験を行うものではないので、一般の取扱業者と同じ扱いとするべきである。
- 愛護団体から犬猫を譲り受けて、実験用に転売していたとみられる業者が詐欺罪で訴えられ敗訴した事例もある。中小の実験動物繁殖販売業者については、まったく実態が不明であることから、実験動物繁殖販売業者も動物取扱業の登録対象とすべきである。
6.産業動物の取扱い
- 経済効率第一の飼育方法のために、おびただしい数の家畜が過酷なストレスを受け、健康を害し、様々な医薬品が投与され、それがひいては食の安全性をおびやかすものとなってきた。家畜の健康と福祉を向上させることは、家畜にも生産者にも消費者にも大きなメリットがあることを知らせるべきである。
- 産業動物という言葉は、一般になじみがないので、畜産動物という用語にするべきである。
- 161行目「産業動物の福祉を向上させるために具体的な数値基準に係る飼養基準を新たに設定することにより、飼養・管理に係るコストが増加し、それに伴って国民の経済負担が増加することにつながる可能性がある」という表現は削除すべきである。そもそも具体的数値を伴う飼養基準の設定は、現時点では制定は困難。できもしないものを殊更あげて、ありもしない可能性をあげる書きぶりは欺瞞的である。
- 動物福祉を向上させることによりコストが高くなるとしても、それは飼養管理者の選択の問題であり、消費者にはそれを選ぶ選択の自由がある。家畜福祉に配慮した製品を購入したいという消費者の選択も尊重されてほしい。
- 一般国民における動物福祉に関する認知度向上を推進するために普及啓発が必要であることは、大いに賛成する。
- 「5つの自由」を、すべての飼育動物の福祉の原則として、条文に明記するべきである。
- 「5つの自由」とは、動物を5つの耐え難い苦痛から解放するという意味で、具体的には、十分で適切な水とえさを与えること、快適な飼育環境にすること、疾病・障害等を治療すること、恐怖や苦悶にさらさないこと、生理、習性、生態に基づく本来の行動ができるようにすることを言うという説明を加える。
7.罰則の強化
- 動物を虐待し、又は不適正な取扱いを行う者に対して、一定の抑止力を持たせるために
も、罰則を強化するべきである。
- 動物愛護管理法の罰則を特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律
と同じレベルにまで引き上げ、個人の罰則は懲役3年、罰金300万円とするべきである。
また、法人にはより重い社会的責任があるので、罰則を大幅に引き上げるべきである。
- 179行目「殺傷罪に対する罰則については、現状でも先進的な外国法と比較しても遜色がない」というが、例えば、イギリスでは査察制度が充実しており、重度の虐待に至る前に取り締まることができる制度であること、また即決で処罰が可能な身近な裁判制度があるなど、制度上に違いがあるので、罰則だけを見て比較することは妥当ではない。
- 動物取扱業に関する各種の罰則を引き上げるべきである。現状ではあまりに罰則が弱いため、悪質な業者が繰り返し違法行為や脱法行為を繰り返している。
8.その他
(1) 犬のマイクロチップの義務化
狂犬病予防法における犬の登録と、動物愛護管理法における管理方法との整合性をはかるべきである。
(2) 犬猫の不妊去勢の義務化
一般の飼い犬、飼い猫についてはすでに相当程度不妊去勢が実施されている。不妊去勢を義務化すべき対象は、動物をみだりに繁殖させては行政の施設に持ちこんだり、近隣住民へ迷惑を及ぼし、周辺環境を悪化させる多頭飼育の飼い主に対してである。みだりな繁殖をくり返したり、多頭飼育で改善勧告や命令を受けた場合には、不妊去勢を義務づけるべきである。
(3) 飼い主のいない猫の繁殖制限
- 自治体で殺処分される犬猫の半数は、飼い主のいない猫が生んだ幼齢個体であることから、飼い主のいない猫の繁殖制限は殺処分半減計画の施策の要であり、これを促進しなければならない。
- 所有者がいない猫のため、誰が不妊去勢手術の費用負担をするかという問題がある。多くの市区町村の助成金制度の充実、あるいは一般からの寄付を基金として充当する等の施策が考えられる。
- 214行目「不適切な給餌や不妊去勢の未処置により猫が増える」とあるが、餌やりイコール悪であるとみなす、誤解に基づいた文言である。きちんと不妊去勢手術が行われていれば、給餌により猫が増えることはなく、むしろ、適切な管理が行われることによって、猫がゴミを荒らしたりケンカをすることも少なくなり、結果的に猫に対する苦情が減る。
- この問題の解決には、苦情を言う地域住民や行政担当者ばかりでなく、餌やりの人や動物愛護推進員なども加わり、幅広く取り組んでいくことが重要である。
(4) 学校飼育動物および公園飼育動物の適正飼養
- 222行目「適正な飼養管理や実態把握ができる仕組み作り」とあるが、既に10年ほど前から試みられているにもかかわらず、なお改善に至らないという実情がある。その理由として、物理面、金銭面、医療面、人員面、全てにおいて学校飼育の制度構築そのものに無理があるとする教職員、父兄等の声がある。
- 環境省の調査では、公園等で動物を飼育展示している施設の過半数が、動物取扱業の登録をしていなかった。その理由として、地方公共団体の施設であれば登録は不要と考えていたからではないか。行政の施設であっても、業の態様によっては登録を要することを周知徹底させるべきである。
- 公園等の動物の飼育は、公園の整備会社や下請けの作業員に委ねられていることが多く、動物の適正飼養に関してほとんど専門的な知識もなく、研修も受けていないのが実情である。直ちに、動物取扱業として登録するよう、環境省の通知を出すべきである。
- 動物愛護センター等でも、ふれあい動物の展示を行っているところが多々ある。行政の施設であっても同様に動物取扱業として登録するべきである。
(5) 災害対応
- 動物愛護管理法の条文の中に、災害時の動物救護対策を明記するべきである。その場合、救護の対象を犬猫に限定することなく、人が飼育する動物のすべてに及ぶ災害時の動物救護対策を構築するべきである。
- 災害時の動物救護については、学校飼育動物、公園飼育動物、動物取扱業の施設で飼育されている動物、実験動物、産業動物等についても、各々、基本的な救護のあり方を明示する必要がある。
(6) 実施体制への配慮
- 動物愛護行政については、その強化を求める社会の声が強いことに基づき、人員の増強と共に、財政措置の確保が必要である。
- 犬の捕獲、犬猫の引取り業務は減少している一方、動物取扱業の監視や特定動物の飼養許可、その他今回の法改正に基づく新たな業務等が増加する。犬猫の世話や譲渡に関わる業務は動物愛護団体等に委ね、行政は動物虐待の取り締まりや動物取扱業の監視等、行政でなければできない業務にシフトしていくべきである。
- 犬猫の引き取り手数料、及び返還・譲渡手数料等を引き上げ、動物の収容保管に係る費用に充てるべきである。
- 動物愛護センター等の行政の動物収容施設の運営に関しては、一部を民間委託とすると共に、動物愛護管理基金を設け、一般から広く寄附金を募るという案が考えられる。
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